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腸内フローラ2019/05/04(土)

こんにちは。院長の木下です。

大型ゴールデンウィークいかがお過ごしでしょうか?連休も後半に入って、新しい令和時代にも馴染んできたのではないでしょうか。そんな休日に気になるのは『食事事情』。。。

暴飲暴食も増え、体重は右肩上がり。。。

今日は人体における極めて重要な役割をしている『腸』に関するお話です。皆さまは『腸内フローラ』をご存知ですか?腸内フローラとは腸内には細菌が住みついていて、電子顕微鏡でみるとまるで植物が群生している「お花畑([英] flora)」のようにみえることから腸内フローラ(腸内細菌叢)と呼ばれるようになりました。

私たちの体の中に腸内細菌は1000兆個、1000種類以上いるといわれています。また、腸内フローラは1人ひとりで異なっており、同じ腸内フローラを持つ人間は他に存在しないと言われています。

善玉菌や悪玉菌という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、乳酸菌やビフィズス菌などに代表される善玉菌は食べ物を分解するほか、腸に集中している免疫力を活性化させるなど、健康に役立つ働きをします。大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌は、脂質や動物性たんぱく質を好み、腐敗させて毒素を発生するなど病気のリスクを高めます。

この2つに加えて、腸内細菌で一番多いのが日和見菌です。日和見菌は腸内の善玉菌・悪玉菌の、優勢な(多い)方に味方します。一般的には善玉菌:悪玉菌:日和見菌は217の割合となるのが理想的といわれていますが、加齢や食習慣の乱れで、理想的な腸内環境を保つことは難しくなってくるのです。

従って、悪玉菌より善玉菌が多い『腸内フローラ』に整えることが健康への第一歩となるのです。

最近の研究によると太りやすい、痩せやすい体質は「腸内細菌」が決めると言われています。成人の腸内細菌は「バクテロイデス」と「フィルミクテス」の二つの種類が優勢となっています。バクテロイデスは善玉菌を好む日和見菌といわれています。フィルミクテスは発酵食品に含まれている菌や皮膚に常在している菌、土壌菌です。

腸内細菌は食べ物を分解するときにさまざまな物質を排出します。バクテロイデスが食べ物を分解すると排出される短鎖脂肪酸は、腸から吸収されて血液を通じて全身に届けられます。この短鎖脂肪酸が脂肪細胞に働きかけると脂肪の取り込みが止まり、肥満を防いでくれるのです。逆にフィルミクテスは食事から取り込むエネルギー量が多く、そのため肥満に結びつきやすいといわれています。

肥満の人と健康な人の腸内フローラでは大きな違いがあり、肥満の人ではフィルミクテスが多く、バクテロイデスが少ないことが明らかにされているのです。

これらの研究結果から、腸内フローラによって太りやすいかどうかが分かれてしまうのと同時に、太ることで腸内フローラも悪化すると考えられるのです。

続いて、病原菌やウイルスなどが体の中に入ったときに、身を守ろうとする免疫機能についてお話します。『腸は免疫力を司る臓器』と言われており、そんな重要な役割を担う免疫細胞の約70%は腸に存在しています。言わば、外敵の侵入を防ぐ免疫細胞の訓練場でもあり、免疫の機能を万全な状態で働かせるためには腸内環境が重要なのです。

話題となっている重症のアレルギーや、多発性硬化症の異なる2つの病気に共通して減少していた「クロストリジウム菌」という腸内細菌の仲間があり、およそ100種類いると言われるクロストリジウム菌の中で、ある種類が少なくなっていることが、「免疫細胞の暴走」と深く関わっていることも報告されています。クロストリジウム菌の働きによって、免疫細胞の過剰な攻撃を抑える役割を持つ免疫細胞「Tレグ(制御性T細胞)」が腸で作られているのです。このTレグの働きで、全身の各所で過剰に活性化し暴走している免疫細胞がなだめられ、アレルギーや自己免疫疾患が抑えられていることがわかってきたのです。研究ではTレグは食物繊維に深く関与しており、クロストリジウム菌が腸内にたくさんいるマウスを2つのグループに分け、一方のグループには食物繊維が少ないエサを、もう一方のグループには食物繊維たっぷりのエサを与え続けたところ、食物繊維たっぷりのエサを与えたマウスの腸内では、食物繊維が少ないエサを与えたマウスに比べて、Tレグがおよそ2倍も多く生み出されることがわかりました。つまりクロストリジウム菌は、エサである食物繊維を多く食べるほど、腸でたくさんのTレグを生み出すことが確かめられたのです。日本人は、古くは縄文時代の狩猟採集生活のころから、木の実やキノコなどから多くの食物繊維をとり、その後も日本の食卓で欠かせない海藻や根菜などは、いずれも食物繊維がたっぷり含まれており、日本人の腸内には、長い時の流れの中で、食物繊維を好んでエサにするクロストリジウム菌などの腸内細菌が多く住み着くようになったと考えられています。

ところが、戦後日本人の食生活は大きく欧米的な食生活へと変化し、食物繊維の摂取量も減ってきています。そうした急激な食の変化に、腸と腸内細菌が築き上げてきた関係性が対応しきれず、アレルギーや自己免疫疾患など「免疫の暴走」が増加してきたとも言われています。

それでは、私たちの普段の生活で腸内フローラを改善するにはどうしたらいいのでしょうか。一番簡単にできることは、善玉菌が好むヨーグルトなど発酵食品とオリゴ糖、食物繊維を摂取することです。

ヨーグルトにはさまざまな種類がありますが、どれを選んでも同じ、というわけではありません。自分に合った菌が含まれていなければ、腸内フローラの改善には結びつきにくいのです。同じヨーグルトを摂取し続けて、2週間たっても体調が改善されなければ別のヨーグルトを試すべきとする意見もあります。いずれにせよ自分で判断するには、便秘や下痢など便通の変化、便の臭い、肌の調子などがバロメーターだと考えられます。

ヨーグルトだけでなく、ぬか漬けやチーズなどの発酵食品も腸内フローラの改善に役立ちます。みそや納豆も同様です。つまりは発酵食品の種類を食卓に増やすことも重要な一歩なのです。

また、腸内のビフィズス菌のえさとなるオリゴ糖も腸内フローラを改善するのに有効です。

オリゴ糖は小腸で吸収されずに大腸まで届きます。オリゴ糖にはさまざまな種類がありますが、代表的なものは、

フラクトオリゴ糖(ゴボウや玉ねぎ、にんにくなどに多い)、ガラクトオリゴ糖(牛乳や乳製品に多い)、

大豆オリゴ糖(大豆や豆乳、味噌などに多い)、イソマルトオリゴ糖(はちみつなどに多い)とされています。

最近、「便移植療法」という治療法が脚光を浴びています。腸内細菌の乱れが原因と考えられる難病患者の腸内に、健康な人の便を移植することで、腸内フローラを健康なものに戻そうというものです。もちろん便は適切に処理されたものを使用します。日本では潰瘍性大腸炎など限られた疾病に対して、家族または配偶者の便を使用するなど厳密な規定のもとで臨床研究が進められています。

長くなりましたが、腸はまさに『全身の免疫本部』なのです。『強い免疫力』を保つために、『食事のあり方』を今一度見直してはいかがでしょうか。